【AKB48選抜総選挙2011】における、個々のセルフブランディングの成否

本日、2011年6月9日は『AKB48選抜総選挙2011』が行われました。

今回で第3回となる、選抜総選挙ですが、最大の見所はやはり

「2009年2位、2010年1位の大島優子さんVS2009年1位、2010年2位の前田敦子さん」の
勝負の行方です。


さて、勝負の結果はどうなったのでしょうか?



変わる順位、変わらぬ姿勢

結果から言うと、3回目の一騎打ちを制したのは「前田敦子」さん!

終始、まっすぐ前を見つめている大島優子さんと、8位の発表くらいから悲痛な表情を浮かべ、
今にもプレッシャーに押しつぶされそうな様子の前田敦子さん。

対象的な二人の姿でしたが、軍配は前田敦子さんに上がりました。

大粒の涙を流し、しゃくりあげながら絞り出したコメントの
「皆さん、私のことが嫌いでも・・・AKBの事は嫌いにならないでください・・・!」という訴えは、
「1位」「エース」というアンチが生まれやすい自分のポジションを受け入れつつ、
AKB48グループ全体の事を想う熱い言葉でした。

ちなみに2位で自分の名前を呼ばれた時の、大島優子さんの凛とした立ち姿にも胸を打たれました。



毎年約10位ずつランクアップする人物

さて、全順位の発表は各報道関係の方々にお任せして、
ここからは「セルフブランド」の観点から、「指原莉乃」さん。彼女について注目してみたいと思います。

彼女の順位は

2011年 9位
2010年 19位
2009年 27位

毎年、約10位ずつジャンプアップしているというすごいメンバーです。

彼女はなぜ、とんでもない勢いで成長するAKB48というグループの中で、さらに人気を伸ばし続けられたのでしょうか?

それは今回の、彼女の受賞コメントから伺えます。


私は、歌もうまくなくて、踊りもうまくなくて、顔も可愛くなくて…


―会場から笑い―


いや、本当に私なんか可愛くないんですけど…




そうなのだ。
本人曰く、アイドルなのに、顔も、歌も、踊りもイマイチなのだ。

もちろん、本当にブサイクだったり、音痴だったりするわけじゃない。
ただ、どの分野でも「自分より才能も、実力も、人気もあるメンバーが既にいる」という状況だ。


ここで彼女が取ったのはただがんばるのではなく、「へたれキャラ+お笑い要員」という道。

主に、ブログで日々笑いをとるよう、ネガティブキャラ(キャラじゃないかもだが)を確立し、
TV等に出演するときも「さしこのくせに」など自分のキャラでAKBグループ内でポジションをキープしたのだ。

その結果、「明確なブランドイメージ」が確立し、番組の企画などで使いやすくなり、
結果的にさらに露出が増えて、人気上昇につながったのだろう。

実際、他にもAKB48の中に「お笑い要員」は居る。
しかし、その中で確実に自分のポジションを確保できた=キャスティング側が使い方をイメージしやすいことが大きいと思う。


2本目の刀を持つこと


このAKBメンバー個人のセルフブランディングについて、
AKBヲタとして知られる「山ちゃん」こと南海キャンディーズ山里亮太さんが、インタビューでこうコメントされています。


南キャン・山里亮太が語る「AKBのブランディング力」

「お笑いの世界にも『一発屋』と呼ばれてしまう人がいますけど、アイドルも教科書通りに歌って踊っているだけでは、活躍の場が限られてしまう。アイドルなのにアーティスト志向、アイドルなのにオタク……というふうに、『二本目の刀』」を持っているメンバーは、やっぱり強いですよね。ビジネスに例えると、本職の営業だけじゃなく、企画もできるぞ、みたいな」

中略

歌唱力やダンスの技術、アイドルらしいルックスやプロポーションで、自分が敵わないメンバーがいる――ビジネスの現場に置き換えても、周りの人と自分を比較して「この分野では、この人には敵わない」と打ちひしがれることは、誰にでもあるだろう。

「AKBのトップで活躍するメンバーは、多かれ少なかれそんな葛藤を乗り越えてきたはず」と分析する。


「彼女たちは、自分の弱点を知って凹むのではなくて、『それなら、自分はどうやって目立てばいいんだろう』、『どうやってファンを楽しませよう』と必死で考えるんでしょうね。劇場に足を運んでいると、メンバーのパフォーマンスやトークが日々磨かれて、個性的になっていくのがよく分かるんです」



指原莉乃さんに限らず、ランキング上位のメンバーは、ある程度「運」の要素ももちろんあるだろうが、
それぞれのポジションを作れるよう、考えて努力してその地位を築いている。

しっかりブランディングしていけば、AKB48のような「メガブランド」内でもセルフブランド構築できるという意味で、会社勤めのビジネスマンや、フリーランスの人間にとって見習うべきところは大きいと思います。