「人」と「商品」の違いは、ブランディングにも決定的な違いを生む
≪「人」と「商品」のセルフブランディングにおける決定的な違い≫
- 人は多面体
- 複数の自己認識、能力、価値観を持つ
<商品と人の違い>
・人は多面体
セルフブランディングはあなた、つまり「人」をブランド化させることです。
ここでしてはならないのは、「人」と「商品」のブランド化を混同させてしまうことです。
「商品」には形のあるモノも、ないモノもありますが、いずれも「明確な機能」を持っています。
そしてその機能は原則として常に変化・増減しません。
もちろんバージョンアップや、組み合わせで用途が増えることもあるし、
経年変化で購入時より質が落ちることはあります。
しかしあくまで「商品としての本来の機能」には変化はありません。
ボールは、角度によって、直角になっていたりはしませんよね。
「まるいんだけど、時にシカクいんだよねー、このボール」
って言われたら、少なくとも球技用のボールとしては使えませんからね。
ボールの「まるい」という機能は、明確である必要があります。
ところが人はそう明確には出来ていません。
自分の「機能」をスペックとして明確に表現できる人はいるでしょうか?
人は、同じ人物でも、「違う一面」をたくさん持っているものです。「人は多面体」なのです。
人は見る角度によって全く別の顔を見せるので、商品とは比較にならないほど複雑なのです。
そこが面白いところなのですが・・・
一つの機能に限定するのは至難の業です。
<ゲシュタルト(全体性)>
・複数の自己認識、能力、価値観を持つ
人は一般的に、複数の自己認識を持っています。
「息子としての自分」
「父親としての自分」
「事業主としての自分」
「草野球選手としての自分」
「物静かで知的な組織の一員としての自分」
「バカなノリの良い友人たちの一人としての自分」
「日本人としての自分」・・・
立場というか、状況によってころころ変わりますよね。
そして面白いのが自己認識(自分は何者かというイメージ)が変わると、
価値観から能力・行動まで全部変わるという事です。
友人と一緒の時は、いけないと思いつつも信号無視をしてしまう。
しかし、自分の子供の前ではけして、そんなことはしない。
あるいはプライベートと、仕事中で
頭の回転や、集中力など、能力面も変化しているのを実感されたことがあるはず。
よく
「場所によってあまりにキャラが違いすぎて、本当の自分が分からない」(複数の自己認識間に、価値観の変化が大きいタイプ)とか、逆に
「いつも同じで、特に違うという感じが無い」(複数の自己認識間に、価値観の変化があまりないタイプ)
という方がいらっしゃいますが、これは、
「複数の自己認識の総和がその人であり、個々の自己認識の中にその人の本質があるわけではない」から起きることです。
これをゲシュタルト(全体性)といいますが、
この全体性が、セルフブランドにおいて、最も厄介で、重要で、素晴らしい要素なのです。
この自己認識に関するゲシュタルトがある限り、
「人」と「商品」とを同じ方法でブランディングしようとすると、必ず失敗するので、ご注意ください。