AKB48のブランド戦略1「推しメン」
≪AKB48のブランド戦略1「推しメン」≫
- 「推しメン」はファンである自覚を深く、明確化するシステム
- ゼロからブランドを確立させるには「ファンの定着化」が重要課題
- 地道な地盤固めが、結果的に短期間での「群を抜く成果」を生む要因の一つ
ファンの力がブランドに「群を抜く成果」を与えてくれる。
そういう事例を一つご紹介します。
以下はオリコンによる「シングルCD年間売上ランキング2010年」です。
http://www.oricon.co.jp/music/special/2010/musicrank1220/index02.html
ご覧のように、トップ10をAKB48と嵐が独占しています。
AKB48は秋元康さんがプロデュースした「会いに行けるアイドル」をコンセプトとする、アイドルグループです。
記事によると、
―「Beginner」「ヘビーローテーション」の1、2位独占という記録は、女性アーティストでは1990年以降久々に生まれた快挙―
だそうです。
2006年のメジャーデビューから、わずか5年でここまでの規模に成長した「国民的アイドルグループのブランド戦略」を分析してみましょう。
AKB48は「推しメン」というシステムを採用しています。
「推しメン」というのは「自分の好きなメンバー、応援しているメンバー」のことです。
AKB48は自身の番組や、ラジオ、雑誌の企画で「推しメンは誰ですか?」とファンに選択を迫ってきます。
「自分は誰を応援するのか」を明確に意識させるのです。
結果、自分の中で「AKB48というグループ」が「○○さんという個人」へと認識が深まります。
漠然と「AKB48が好き」というファンと
「○○さんが好き(なので結果的にAKB48も好き)」というファンではその熱に差が出来るのはお分かりでしょう。
その結果「推し変」というような言葉も生まれます。
「推し変」とは推しを変えることで、ファンとメンバーにとっては大きな意味を持ちます。
「推し変されると、ちょっと寂しいですよね」と大島優子さん(柏木由紀さんだったかな?)が番組で発言されていました。
この考え方に反して「みんな好き」「誰でも大好き」というまさに漠然とAKB48が好きなファンのことはDD(=誰でも大好き)と呼び
「DDはダメだよね〜」とメンバーそれぞれにメディア等で発言させています。
そうです、「DDはダメ」なのです。
ちゃんと個人を推さなくてはいけないのです。
これにはAKB48の成長戦略上の理由があります。
彼女たちはデビュー当初から今のような地位を築いていたわけではなく、苦労を重ねてきたグループです。
デビュー当時はたった7人のお客さんしかいなかったそうです。
彼女たちはゼロからブランドを築きあげ、成長してきたグループです。
ゼロから、短期間で成長させるには集中的かつ大規模な宣伝戦略が必要になりますが、
AKB48が採ったのは地道な地盤固め、つまりファンの囲い込み戦略でした。
短期間で知名度のみを上げるような宣伝を行うと、短期的な売り上げは高まりますが、
ファンが定着せず、その成長は持続しません。
個々のメンバーにファンを定着させ、けして逃がさない事。
その戦略的意図が、AKB48のコンセプト「会いに行けるアイドル」と、
もう一つのコンセプト「成長を見せる」に見事に含まれています。
共に成長していってくれる、成長を見守ってくれる。
これこそまさに「ファン」のファンたる由縁だからです。
熱心なファンを定着させる「推しメン」戦略。
この地道な地盤固めが、結果的にわずか5年という短期間で今回のような群を抜く成果を生む要因の一つになっています。
生まれたばかりのブランドにとって、「ファンの定着」は最重要課題となります。
セルフブランドでも、いかにしてファンに「定着してもらうか」を考えなければなりませんね。
蛇足ながら、私は倉持明日香さん推しでして、
彼女の所属する派生ユニット「フレンチ・キス」のファンでもあります。
漠然とAKB48のファンであったら、「フレンチ・キス」には興味を持たないだろうなと思いますので、
この「推しメン」戦略の効果は実証済みです(笑)
≪AKB48のブランド戦略1「推しメン」≫
- 「推しメン」はファンである自覚を深く、明確化するシステム
- ゼロからブランドを確立させるには「ファンの定着化」が重要課題
- 地道な地盤固めが、結果的に短期間での「群を抜く成果」を生む要因の一つ